金色に染まった街の夕景は静かに私達を包み込んでいた。
私達は明日に迫ったダンス競技会を控えメンバーみんなででそれを見ていた。
雲が混じった夕景は何とも言えない表情を見せる。
日が沈むと空からボンヤリとした朧月が輝く。
その月を見ながら誰かが言った。「一雨来そうだね」と。
今日は明日の大会に向けての最終調整。雨が降ろうとやらなければならない。
私達は閉店後の店のガラスに映る自分達を見ながらいつも練習をしている。
今日もいつものようにその店の前にいる。
「風が冷たくなったね」そんな声も聞こえてきたが私達に時間はない。練習を続ける。
1時間も過ぎた頃だろうか、ポツポツと雨が降ってきた。
ここに雨を避ける物はない。少々の雨ならみんなで練習していたのだがやがて本降りになった。
「やばいよ風邪引くよ」そんな声が聞こえてきたが最後に一度あわせようと心を合わせる。
イントロが流れた頃には雷鳴も聞こえだしたが誰一人そんな事を気にする物はいなかった。
雷鳴は近づき雨粒も大きくなったが誰も気にはしていなかった。
一瞬爆音と大きな光がガラス越しの私達の背中に映った。
雷様まで私達のダンスを見に来てくれたんだ。メンバーに笑顔がこぼれる。
明日はこのメンバーとのラストダンス。
後悔の無いように踊りたい。雷なんて無くても光れるように…